
ほとんど「お店」を止めていたにも係らず、特に昨年あたりから沢山の「お客様」や「お問い合わせ」が来ます。理由を聞きますと、安く良いものを作ってくれるという方がほとんどでした。ホント???相変わらず「持ち込み大歓迎」という不思議な理由もあるのですが・・・
業界のガラパゴス?の当店では、相変わらず不思議に思う事がたくさんあります。例えば、ロードバイクでサイズを無視して販売したらヒンシュクを買うことはあっても、何も知らないお客様にフルサスバイクを販売するとき、セッティングの目安となる一般的な「サグ」を見てあげないお店もまだあるようです。そして、この「サグ」を正確に取るには、極力フリクションのない状態にする必要があります。当たり前ですね。
特に新品のフロントサスは、明らかな「ハズレ品」は別としても、相変わらず、組み立てただけの可動部にオイルが回っていないものがほとんどです。まさに鏡にゴム板、旧車にあった貼り付くパワーウインドウですね。どんな素晴らしいコーティングでもダメです。当店の見解ですが、グリス類も絶対ダメです。特に冬場など返ってフリクションを生みます。安易にインナーチューブに潤滑スプレーなどかけるのではなく、逃げない場所(ダストシールとオイルシール間、または相当場所等)に的確な潤滑オイルを注して、カートリッジ等を精度良く取り付けてあげる事くらいは、フレームに取り付ける前の作業なら10分作業です。工賃をいただくような作業でも、スペシャルチューンなどと豪語するような作業でもありません。当店では、組み上がったフルサスに「そっと」跨った時、リアだけ沈んでキャスター(ヘッドアングル)が変わるようなバイクには誰も乗りません。
さて現在販売されているフロントサスの中では、私の大好きなFOX 40、2011と2012モデルを使っていますが、明らかに2012モデルのシールの方がフリクションが大きいです。もちろん良くなっているところもあるのですが、特に新品の2012モデルをいきなりフレームに取り付けて組み上げようものなら、前述の1Gでリアだけ沈むような事にもなり得ます。そのうち当たりが出る???残念ながら、そうは簡単に出ませんし、そういう問題ではありません。「動かない=スプリングが硬い」という誤解を招き易いのですが、フリクションが無ければ、例え自分にとって硬いスプリングであっても、ヘッドアングルが寝ていようと、「少ないサグ」は取れる筈です。フリクションを「削除」しないと、的確なスプリングの選択、さらには減衰調整も、わかり易くできません。フリクションがプロペダル、なーんてものも沢山見させてもらいました。
フリクション削除後50kgの私で、303の40のスプリングは純正エクストラソフト、リアの特性とピッタリでした。V10の方はリアの特性に、自作不等ピッチスプリングで合わせました。フロントとリアが同期同調します。格段のコントロール性です。私のようなヘタッピーおじさんライダーこそ、コントロール性の高い機材を使わないと危険な乗り物になってしまいますからね。